絵画コレクション1  当初掲載日2017.11.21 最終更新日2018.02.13

我が家にやってきてくれた、こばやし雅子先生とお弟子さんの絵画

・(1)~(4)は先生、(5)はお弟子さんの作品。

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   写実的な絵画の魅力   2017.11.21(誤字訂正2018.08.14)

 2008年4月、叔母から贈られたスイセンの絵に魅せされた私は、それ以来、写実的な絵画の魅力はどこにあるのだろうと考えるようになりました。

 すると、それから3年後、その答えを知る機会が訪れました。2011年6月26日放送のNHK番組「日曜美術館」、タイトルは「記憶に辿りつく絵画 ~亡き人を描く画家」でした。当時、この番組を見て私は写実画の魅力を少し理解できたと思いました。しかし、今回、6年振りにビデオを見直してみて、私の理解不足、記憶違いに気付きました。

 

 番組は、結納を済ませた娘(鹿嶋恵理子さん)を交通事故で亡くした両親が生前の娘の写実的な絵を画家の諏訪敦さんに依頼し完成するまでの、2010年12月からの半年間を記録したものです。

 父の願いは、「明るく、はつらつとした娘を蘇らせて欲しい」、「ちょっと気が強くて、そして前向きな恵理子、それを描いて欲しい」、「心の空洞を諏訪さんの絵で埋めたい」。

 「なぜ写真ではなく絵画なのか」。旅が好きで、世界中を回った娘。その写真や動画がたくさん残されている。精神科医・美術批評家の三脇康生さんによると、「ご両親は、写真は、やがて見慣れてくると思うんですよ。単なる思い出ではなく、娘に対するもっと深い記憶に、どうアクセスするのか。それを画家は試みている」。

 

 諏訪さんは、たくさんの恵理子さんの写真を見た上で、最初に両親のデッサンから始めました。雑談しながら顔の動きを見る。さらには、お母さんの頭や顔を触って娘さんの骨格を思い描く。「写真を見ただけでは気付けない情報というのが、お父さんお母さんの中に絶対に含まれている。それを自分の手を通して自分の体の中に入れていくことで、たぶん、後で恵理子さん本人の絵を描いていく時に、どこかでフックになってくると思う」。

 そう考える一方で、写真を写すのではなく、できるだけ収集した情報を元に諏訪さんなりの恵理子像を作っていくことが、果たしてご両親にとって受け入れられるものなのか。諏訪さんは、その疑問を確かめるべく、NPO法人「生と死を考える会」の佐野さんを訪問。佐野さんは、「お嬢様にそっくりな絵が欲しい訳ではないと思います」。

 

 このように家族や様々な人との対話を重ねて完成した絵は、服は娘さんが着ていたもの、腕時計は両親がプレゼントしたものだが、娘さんの写真には無かった構図。そして、笑う少し前の表情は諏訪さんが生み出したもの。三脇康生さんは、「対象が不在。それ故に新たな創造ができた。そこに至るための写実」。

 

 この番組をダビングしたBD-REには、「日曜美術館」の2011年5月8日放送の「超写実絵画 野田弘志」という番組も入れていました。作歌で医師の加賀乙彦さんは、「写実というのは、或る人間、或る自然をそのまま描くのではなくて、画家の思っている、あるいは画家の信じている或る生命の神秘みたいなものを、そこに描き込んでいくというのが本当ではないでしょうか」。

 今回、絵画の写真と短歌をアップするために2つの番組を見直したことで、写実画の魅力を再認識することができました。