シリーズ2:恋

(6)紅梅の恋の季節  2021.01.01配信(最終更新2021.01.03)

市民の森(宮崎市)、2021.01.01(金)、11:05
市民の森(宮崎市)、2021.01.01(金)、11:05

 梅や桜などは、葉っぱが夜の長さを測ることで季節の移り変わりを知るのだとされています。それは、気温はあてにならないので、確実な「夜の長さ」を測って判断するということです。1年で最も寒い2月の約2か月前に夜の最も長い冬至(2020年は12月21日)が到来するので、もうすぐ寒くなるぞと分かるという訳です。

 そう判断した葉っぱは、アブシンサンを作って芽に送り続け、それによって芽はツボミを寒さから守る役目を果たす「越冬芽」となるのだそうです。いつからアブシンサンを作って送り始めるのかは、植物の種類によって異なるのでしょう。昼が最も長い夏至を過ぎれば冬至までは夜が徐々に長くなるので、準備不足とならないよう、それぞれの種類の植物の葉っぱが適切な時期を判断するのでしょう。

 桜の開花は宮崎では3月下旬頃ですが、梅は1月下旬から2月上旬頃です。最も寒い時期を選んで梅が開花するのは、虫たちを誘うライバルが少ない時期を選ぶことで、競争を避けているのでしょう。また、梅や桜が葉っぱよりも先に花を咲かせるのは、そうすることで花が目立つようにして虫たちを誘うのだそうです。

 また、樹木だけでなく、8年前に球根を植えた庭のミニ水仙は、毎年冬に発芽し、1月下旬頃に開花します。このように、植物たちは子孫を残すために(恋を成就させるために)、虫や光を求めて知恵を絞っています。なお、植物の知恵については、田中修著『植物のすさまじい生存競争』(pp.74~85,SBビジュアル新書)を参考にしました。